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中年弁護士の独り言兼備忘録

「決戦!株主総会 ドキュメントLIXIL死闘の8カ月」の雑感①

今日からは話題の新刊「決戦!株主総会 ドキュメントLIXIL死闘の8カ月」を読んだ感想について書きたいと思う。

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著者は記者の秋場大輔氏。インターネット情報によると、秋場氏は日本経済新聞社で電機、商社、電力、ゼネコンなど企業社会を幅広く取材。編集委員、日経ビジネス副編集長などを経て独立したようだ。

この物語は、2018年10月下旬、プロ経営者でありLIXILグループの取締役であった瀬戸欣也氏が、LIXILグループの元となったトステム社の創業者の子潮田洋一郎氏から退任の勧告を受け、これにより瀬戸氏は取締役辞任に追い込まれるところから始まる。当初、瀬戸氏は潮田氏から退任は指名委員会の総意と聞いていたが、その後、他の取締役らから指名委員会はそのような意思を持っていなかったことを知ることになる。すなわち、潮田氏は指名委員会に対しては瀬戸氏が辞任の意思があると伝え(瀬戸氏はそのような意思はないし、もちろん潮田氏に対してそのような意思を伝えたことはないとしている)、指名委員会から瀬戸氏の辞任の意思を確認するよう依頼されていたにもかかわらず、瀬戸氏に対しては瀬戸氏の退任が指名委員会の総意であることを伝えた。潮田氏はこのような二枚舌で瀬戸氏を退任に追い込んだだけではなく、LIXILグループの取締役の多くは潮田氏の意向に慮って経営をしていたようである。瀬戸氏は、LIXILグループの社内に混乱を引き起こしたくなかったため、行動をするか悩むも、旧態依然としたLIXILグループのコーポレートガバナンス実現のため、行動に移すことを決意。その後、協力者・賛同者を増やし、2019年6月の株主総会にて取締役CEOに復帰するという物語である。