ビジネスロー・ダイアリー

中年弁護士の独り言兼備忘録

ソーシャルメディアから考える参院選④

続いては参政党である。参政党はYoutube、Twitterではなく、TikTokで人気を獲得したという報道が多い。実際にTikTokで参政党のハッシュタグがついている動画の総再生数は9700万回程度であり、驚異的な数字となっている(参考までにごぼうの党のハッシュタグがついた動画は1100万回程度の再生数であり、参政党とは10倍近い差がある)。ひとつのポイントとしては、選挙活動の面ではTikTokというプラットフォームが適していたという点が挙げられるであろう。YoutubeやTwitterのようなユーザーの利用履歴に応じて関連動画等をリコメンドする場合、参政党に興味のない人にはリーチすることができない。しかし、TikTokはユーザーの利用履歴だけでなく、他のユーザーの評価が高いものがリコメンドされるので、参政党に興味のない人にもリーチすることができる。そのうえで大量の動画がTikTok上で流れているので、単純接触回数が増え、参政党に親近感を持った人も多いのではないか。

また、ニュースによると、TikTokの切り抜き動画は参政党が作成したものではなく、党の支持者が自主的に作成したものとのことである。ここが、ごぼうの党と大きく異なる点であろう。神谷宗幣氏は参政党の前進である活動を2019年から始めており、2020年に参政党を結党している。そこからじわじわと支持者を増やし、現在では、支持者は3万人を超えると言われている。このような地道な活動が実り、今回の選挙の大きなうねりに繋がったと考えられる。ごぼうの党の党首がニュース番組で18日では短すぎると語っていたが、本当にその通りなのであろう。支持基盤を獲得するためには、18日ではあまりに短すぎる。政策だけでなく、候補者の人となりが投票行動に与える影響は大きいと考えられるため、一定程度の長期間の広報活動は選挙基盤を構築するために不可欠であり、そのためにSNSは大きな役割を担うだろう。ごぼうの党の話に戻ってしまっているが、ごぼうの党も今後広報活動を続ければ(次の衆議院選は3年後であるが、まずは地方議会から攻めることも十分に考えられるはずだ)、支持基盤を獲得することが可能であろう。