ビジネスロー・ダイアリー

中年弁護士の独り言兼備忘録

国際情勢

13兆円の損害賠償の行方 - 東電旧経営陣が負う経営責任④

昨日のエントリーの続き: businesslaw-diary.com さて、今日は役員等賠償責任保険について書きたい。会社法は役員等賠償責任保険契約について締結手続き(例えば、東電の場合は取締役会の決議が必要)を定めているにとどまり、その具体的内容は保険会社と会…

開示資料から考えるツイッター社買収合意の解除の可否③

以下の昨日のエントリーからの続き。今日は少しだけここまでの議論をまとめてみたいと思う。 businesslaw-diary.com さて、以上の分析からすると、仮にツイッター社がスパムアカウント等の情報をマスク氏に提供していないとすると、実は法律論的にはマスク氏…

開示資料から考えるツイッター社買収合意の解除の可否②

今日は毎日の以下のエントリーの続きを書きたい。 businesslaw-diary.com 情報提供義務違反で争うのが難しい場合、ツイッター社のさらなる防御を考えられないだろうか。一つ考えられるのが、契約違反はあるが、解除事由には該当しないという主張だ。本解約通…

開示資料から考えるツイッター社買収合意の解除の可否①

イーロン・マスク氏のツイッター買収提案の撤回が話題を呼んでいる。 マスク氏とツイッター社は、今年の4月25日、マスク氏によるツイッター社買収に合意していたが、報道によると、マスク氏はこの合意の撤回(解除)をツイッター社に通知したとのことだ。今…

ウクライナに対する侵攻に関するロシア制裁について④

これまでのポストで説明したように、制裁法も適用範囲を確認すれば、常識的に見て安心して取引が行えることもある。さはさりながら、このように緊急時に新たに立法される法律は十分に練られていないことも多く、解釈にも幅がある。その意味でどこまでいって…

ウクライナに対する侵攻に関するロシアに対する制裁について③

EUの制裁も同様に考えられる。EUのロシアに対する制裁は2014年のクリミア侵攻から始まっており、このときに制定されたEU規則を改正することで今般の制裁を課している[1]。ロシア制裁に関して基本となるEU規則はCouncil Regulation (EU) No 269/2014とCouncil…

ウクライナに対する侵攻に関するロシアに対する制裁について②

まず英国におけるロシアに対する制裁についてであるが、この制裁は2018年に制定されたthe Sanctions and Anti-Money Laundering Act 2018[1](「英国制裁法」)が大元になっている。この法律は英国における制裁法の根拠法となるもので、この法律を根拠として…

ウクライナに対する侵攻に関するロシアに対する制裁について①

筆者が仕事の都合上、英欧によるロシアのウクライナに対する侵略に対する制裁を調査する機会があったので備忘のために制裁の概要を残しておく。なお、全て筆者の個人的な意見であり、筆者が所属する団体の意見ではない。また、内容の正確性には気を付けてい…