ビジネスロー・ダイアリー

中年弁護士の独り言兼備忘録

2023-01-01から1年間の記事一覧

M&Aロイヤーが学ぶべき近接領域

今日は弁護士は隣接領域を学ぶべきかという弁護士であれば誰でも直面する問題について私の考えを書いてみたいと思う。想像のとおり、この答えはYesであろう。特に自分が専門とする分野の近接領域は学ぶべきだ。例えば、Tech関連のスペシャリストになりたいの…

司法試験におけるPC使用解禁の寄せて

司法試験がついにPC利用を解禁するらしい。腱鞘炎になりつつも答案を作成していた世代からすると隔世の感がある。確かに、ペンで長い訴状・契約書etcを書くことなんて決してない時代であるので、PC利用を認めるのが当然であろう。そういえば遠い昔に受験した…

プロフェッショナルファームにおける上司論

やっと私にも後輩というものができてきており、上司とは何かについて考えさせられることが多い。今日は私が考える上司像について少し書いてみたい。 まずプロフェッショナルファームにおける上司の役割とは何か?一番の役割は仕事をとってくることだろう。プ…

JIPによる東芝に対する公開買付けに関する契約の雑感②

4.表明保証 5.取引保護条項 6.終わりに 大分時間が経ってしまったが、JIPの東芝に対する公開買付けについて筆を進めていきたい。 前回はこちらから businesslaw-diary.com 4.表明保証 表明保証についても予告プレスには記載されている。JIP側の表明保証…

「ビジネス教養としての半導体」の感想とものづくり太郎様について

半導体が騒がれているので読んだ一冊の紹介。

公正な買収の在り方に関する研究会が公表した指針原案の雑感-Majority of Minorityが許される場面の整理

はじめに 前提 同意なき買収に対する買収防衛の総論 「必要性」が認められるMajority of Minority はじめに GWが終わるので久しぶりの投稿をしたい。GWも体感としては一瞬で終わってしまったが、普段はできないインプットができて個人的には満足のいく休暇だ…

JIPによる東芝に対する公開買付けに関する契約の雑感①

はじめに このブログでも紹介した東芝の非公開化の案件がついに一段落がついたようだ。これまでの報道からはJIPと政府系ファンドのJIC(正確にはその子会社のJICキャピタル)が争っていたようであるが、最終的にはJIPがスポンサーとなることで幕引きとなった…

AI時代の法律業界?

はじめに AI時代の法律業界のストーリーその1ー中小事務所の躍進? AI時代の法律業界のストーリーその2ー大規模事務所の寡占化? AI時代のために何をすべきか? はじめに AIの進化には驚かされる。GPT3からGPT4の進化は非連続的なものを感じざるを得ない。私…

秘密保持契約における目的外使用その2:情報の色付けの可否について

はじめに 甲乙Aの例 NDAの前提 解決の方向性 はじめに 今回は前回に続く秘密保持契約(NDA)に関するエントリーである。 前回の記事はこちらから: businesslaw-diary.com さて、前回の記事は目的外使用について記載したが、今回は情報は色付けできるか?と…

秘密情報の目的外使用を遵守することの難しさ

秘密保持契約、通称NDA(Non Disclosure Agreement)は企業法務の世界では初歩の初歩で、私も若いころは千本ノックのようにNDAのレビューをしていた。しかし、年次があがるにつれて、NDAは若い人に任せてしまっており、実はここ数年は真面目に検討をしていな…

恥をかきたい

恥をかくというのが年々怖くなっている。弁護士を始めた頃は新しい分野の事件も新しい分野も法律も前向きに取り組めていた。さらに遡れば、ロースクールの頃は法律と名の付くものは食わず嫌いをせずに取り組んでいたし、大学生の頃は法律だけではなく、経済…

乱文:ChatGPTと弁護士業務

X社に勤める3年目の法務部員Aは、出勤してパソコンを立ち上げると、営業部のBからY社との間でX社の製品に関する売買契約を締結したい旨のメールが来ていた。どうやら今回の売買契約は、継続的な契約であり、また、売買価格も固定額ではなく、原料甲の価格に2…

Rights of first offer? Rights of first refusal?

新年の抱負 久しぶりの投稿になってしまった。忙しくてブログから少し遠ざかると、すぐにブログを書く習慣がなくなってしまう。今年は月一(願わくば月二)でM&A関連トピック、法務トピック又はその他の雑トピックを書いていきたいと思う。 今回何を書くか迷…