ビジネスロー・ダイアリー

中年弁護士の独り言兼備忘録

ウクライナに対する侵攻に関するロシア制裁について④

これまでのポストで説明したように、制裁法も適用範囲を確認すれば、常識的に見て安心して取引が行えることもある。さはさりながら、このように緊急時に新たに立法される法律は十分に練られていないことも多く、解釈にも幅がある。その意味でどこまでいってもリスクがつきまとうものであり、常に慎重にリーガルリスクを確認する必要があるだろう。必要に応じて弁護士に照会をかけることもあるが、白黒はっきりした回答を得ることは難しい。その中でリスクをとり事業を進めるかは、まさしく経営判断であり、ビジネスの力が試されるところだろう。更に一歩引いて、制裁には目的があり背景がある。制裁が課されないか否かという判断軸だけでなく、制裁の裏側にある目的の実現に寄与したいのかという判断軸でも考えてみるのもよいかもしれない。いずれにせよ世界は緊急事態だ。一日も早くこの緊急事態が収まり、誰もが安心安全に暮らせる生活が戻ってくることを願っている。