ビジネスロー・ダイアリー

中年弁護士の独り言兼備忘録

「決戦!株主総会 ドキュメントLIXIL死闘の8カ月」の雑感④

こちらの本の話の感想の続き④

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潮田氏サイド/会社サイドの人間もあたかも卑怯なことに手を染めているような記載ぶりであるが、そのような人たちの一つ一つの行為はそこまで大きな問題ではなく、また、潮田氏/会社の立場に従わなかったら、将来の出世や周囲との関係が悪くなるといった明らかなデメリットがあるため、合理的な行動の結果、潮田氏サイド/会社サイドについた者もたくさんいるのであろう。

もちろん本書の確信はコーポレートガバナンスの問題であるが、私としては、自分が同じような立場にたったとき、自分の正義を貫けるのか(クライアントやボス弁に対して「それはやりすぎですよ。それをやるなら自分は弁護士ません。」と言えるのか)という点を強く問われる作品であった。弁護士たるもの社会正義の実現をしたいと思っているし、有り体にいえば、卑怯なこと、恰好の悪いはしたくないと思っている。しかし、本当に追い詰められたとき、何が正しいかを判断できる軸があるのか、その軸に基いた行動ができるのか(そのような軸に基づいた行動ができなければ弁護士をしている意味がない)、普段から自分に問いかける必要があると思わされる作品であった。