ビジネスロー・ダイアリー

中年弁護士の独り言兼備忘録

「ビジネス教養としての半導体」の感想とものづくり太郎様について

半導体が騒がれているので読んだ一冊の紹介。

 

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著者は半導体商社の代表取締役。著者の会社は2001年に設立され、2004年にはマザーズ上場(すごい!)、その後、米国企業(アロー・エレクトロニクス)の子会社となったようだ。

 

この本は前々から話題になっていたし、Amazonの評価も高いので相当期待していたが、正直な感想は少し期待外れといったところだ。初心者向けの本ということで致し方ないのであろうが、内容としてはネット記事をまとめた程度の情報量にとどまっていた。他方、初心者向けにも関わらず、IDM等のテクニカルワードが急に使われたりと、きちんと理解するには別の媒体を参照する必要があり、決して親切な本ではなかったように思う。

 

この本の概要をまとめられると以下のとおりだ:

・半導体は1兆ドル市場にも到達する成長市場。

・半導体市場に関わるプレイヤーは多岐にわたる。垂直統合モデルで半導体を製造するメーカー、水平分業モデルで半導体を製造するメーカー、半導体装置メーカー、半導体材料メーカー、半導体商社等々があげられる。

・半導体製造には様々なプレイヤーが関与していることもあり、半導体のサプライチェーンは非常に複雑かつ世界中に張り巡らされている。その結果、サプライチェーンは脆弱となっている。

・日本企業はかつては半導体市場の雄であったが現在はその勢いに陰りが見える。特に最先端半導体メーカー(工場)がない点が痛手。しかし、半導体材料、半導体装置、半導体製造の後工程ではシェアが高く、プレゼンスが高い。日本企業は半導体市場において厳しい闘いを迫られているが、日本には優秀な半導体設計者が生まれる可能性もあるし、また、優れた電子装置メーカーもありその電子装置メーカーとリエゾンして半導体を製造することも考えられることから、勝ち筋もあるだろう。

 

記載のとおり特に珍しい内容ではなく、この分野に興味がある方であれば一度は目にした言説であろう。

 

したがって、この分野について全く調べたことがない人にとっては適切な入門書かもしれないが、そうでない人にとっては入門書としても少し歯ごたえがない内容になってしまっていると思う。

 

この本以外にお勧めの入門書があれば教えて欲しいが、半導体を調べているときに発見したこのYouTuberを是非とも紹介したい。

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ものづくり太郎さんの詳細は不明であるが、動画内容は秀逸である。どの動画を見ても基本的には基礎的な内容から入り、その後応用的内容(その動画の主題)を説明する形になっているので、初めて半導体に触れる方にとっても優しい内容になっている。動画の内容が少し難しかったとしても、半導体だけでも製造工程から各メーカーの紹介、最新の半導体関連技術(パッケージング技術のトレンド)の紹介等、非常に豊富なラインナップになっているため、かならず基礎的な内容を説明した動画もあるというのも魅力的である。

 

また、ビジュアルを使っての説明なので(私のような文系には)イメージが湧きにくい、製造工程等の技術的な内容もすっと入ってくる。論より証拠。まずは半導体の製造工程に関するこの動画を是非観て欲しい。

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私が何より感動したのは、技術面に終始するだけでなく、ビジネス的に側面にも踏み込んだ解説もしていることだ。例えば、半導体装置メーカーを説明したこの動画は一見の価値ありだ。

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我々弁護士的な感覚からすると映像で学ぶことは邪道、本で学ぶこと王道という刷り込みがあるが、動画のクオリティが本のクオリティを勝る例をまざまざと見せつけられたような気がする(未知の分野を学ぶときは動画コンテンツに一日の長があるのでその点は割り引く必要があるが)。

 

話が逸れてものづくり太郎さんの礼賛のポストとなってしまった。ただ、弁護士諸兄は、仕事において依頼者のビジネスが十分に理解できない(その結果、契約書の肝も分からない)という経験を誰もがしているだろう。そのようなとき、我々はどうしても本等の活字媒体で調べてしまいがちであるが、動画コンテンツもあなどるなかれである。是非一度YouTube等の動画コンテンツで調べてみて欲しい。そして、ものづくり太郎さんのクオリティに驚いてほしい笑